3Dカメラ技術の理解:ステレオビジョン(Stereo Vision)/ 構造化光(Structured Light)/ ToF(Time-of-Flight)
Date of writing 2025 . 04 . 16
急速に進化する3Dイメージング分野において、代表的な3つのコア技術があります。それが「ステレオビジョン(Stereo Vision)」、「構造化光(Structured Light)」、そして「ToF(Time-of-Flight)」です。それぞれの技術は独自の強みと特徴を持ち、さまざまな応用分野に応じて活用されています。本稿では、これら3つの技術を詳しく解説するとともに、実際にNAMUGAがこれらの技術をどのように製品へ統合しているかについてもご紹介します。

a. ステレオビジョン(Stereo Vision)
動作原理:
ステレオビジョンは、2台以上のカメラを異なる位置に配置し、同じシーンを撮影した2つの画像の視差(disparity)を分析することで、奥行き情報を計算します。これは人間の両眼視差の仕組みに似ています。
長所:
ステレオビジョンは構造がシンプルで、パターン光やレーザーを必要とせず、周囲の光のみで動作が可能です。また、日光などの外光干渉にも強いのが特徴です。
短所:
小型化には不向きで、2枚の画像間の特徴点を正確にマッチングするための高度なアルゴリズムが必要となり、処理が複雑になります。
b. 構造化光(Structured Light)
動作原理:
構造化光は、一定のパターン(格子、点など)を対象物に投影し、そのパターンが物体表面に沿ってどのように変形するかを撮影し、三角測量の手法で奥行きを算出します。
長所:
構造化光は高精度・高解像度の測定が可能です。正確で迅速な測定および能動的な制御が可能で、産業・研究分野で広く使用されています。また、テクスチャのない物体形状も正確に再現でき、照明条件が安定している環境下で非常に高い性能を発揮します。
短所:
一方で、明るい屋外環境では投影パターンが外光によって妨げられる場合があり、ガラスや金属のように反射率の高い表面では歪みが生じる可能性があります。
c. ToF(Time-of-Flight)
動作原理:
ToFカメラは赤外線(IR)信号を照射し、対象物で反射して戻ってくるまでの時間を計測することで、距離情報を算出します。この時間差に基づいてシーンの深度マップ(depth map)を生成します。
長所:
ToFはリアルタイムで高速な3Dイメージ生成が可能で、同時に輝度情報(intensity data)も取得できます。その特性により、ロボットや産業自動化などリアルタイム性が求められる分野に最適です。
短所:
構造化光に比べて奥行き解像度がやや低くなる場合があり、物体表面の反射率や色によって精度に影響を受けることがあります。
NAMUGAの3Dカメラモジュール技術開発の現状
Intel RealSenseカメラは、ステレオビジョンをベースとした代表的な3Dセンシングシステムです。2つの赤外線カメラから異なる角度の画像を取得し、それらの視差を算出して奥行きを測定します。一部モデルでは赤外線ドットプロジェクター(IR Dot Projector)を追加し、テクスチャが少ない表面でも性能を向上させており、ステレオビジョンと構造化光の長所を組み合わせた構成となっています。
NAMUGAはこのような3Dセンシング技術全般において豊富な開発経験を有しています。
Titanシリーズは、AR/VRグラスやロボット掃除機に最適化されたToFカメラモジュールで、コンパクトなフォームファクターと高精度の奥行き認識により、空間認識およびジェスチャー認識機能を提供します。NAMUGAはステレオカメラモジュール技術をベースに、Samsungのロボット掃除機向けに3Dセンシングモジュールを量産供給しており、安定した性能を基に高精度なナビゲーションを支援しています。
また、Pinocchioシリーズはホームケアロボットやポータブルプロジェクター向けに設計されており、スマートな環境認識および自動化機能を実現しています。
▷Titan 100 & 120 ToF モジュール
▷Pinocchio: ホームケアロボット、ポータブルプロジェクター用ToFモジュール
短距離のToFカメラに加えて、NAMUGAはToF原理を応用したLiDARソリューションも提供しています。
Stellaシリーズは、自動車やセキュリティシステムに特化した高性能LiDARモジュールで、リアルタイムの3D認識と障害物検知により、自動運転および境界監視に適したソリューションです。特にStellaシリーズは、長距離・短距離の両方に対応できる設計となっており、屋内外を問わずさまざまな産業分野で柔軟に活用可能です。たとえば、物流の自動化、スマートファクトリー、産業用ロボット、空間モニタリングなどにおいても、高い互換性と拡張性を提供します。

拡張現実(AR)、ロボティクス、自動運転など、多様な分野で3Dセンシング技術の需要はますます高まっています。Structured Light、ToF、Stereo Visionそれぞれの技術は、用途や目的に応じて最適な性能を発揮し、NAMUGAはこれらすべての分野で顧客に合わせたソリューションを提供しています。
NAMUGAは今後も高性能な3Dカメラモジュールの開発を通じて、次世代製品の競争力を高め、パートナー企業のイノベーションを実現するテクノロジーパートナーとしての役割を果たしてまいります。